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タグで日記を手打ちするのが面倒になった、 ダメな感じの人が書く、 タメにならない日記。
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今年もよろしくお願いいたします。
…仕事のせいにしやしませんが、相変わらず亀足でやってるのかやってないのか…
でも水面下で進んではいるんですよ、とだけ…

あっあとぽこもんに夢中ですなう。
調子こいて擬人化とかしたけど世界観行方不明過ぎてどうなるかわかりません。
とりあえずスボパは家族になります(`・ω・´)

続きからは年末に一人で勝手に萌え滾ってたきたしろ小話。
…のつもりが地味に長くなりました。
あと割と勢いで書いたんで手直しするやもやも。

***



はめられたちくしょう、と罵るのは所詮心の内だけで、今更なにを言っても後の祭りである。
逃げ出そうにも車は発進しているし、自分は後部座席に乗せられているだけだし、
もちろん運転手に指示を出す権限なんてあるわけがない。
唯一この場を切り抜けられそうな信ぴょう性のある手段としては、急すぎる仕事の連絡だけど、
年にあるかないかの連日休暇中の自分にそんな連絡が入るわけが無かった。はめられた。
でもそれなら最初から待ち合わせ場所に行かなければいいだけの話で、
要はそれすら出来ない俺はどれだけ意思が弱いというか、なんというか、

「リーダーどう?お休み満喫してる?」

どれだけこの男の手のひらの上にいれば気が済むのかと、我ながら呆れたものだった。
そもそも連日休暇だからといって、大掛かりな旅行の予定を組むつもりは全くなかった。
そりゃあ、いくつか行けそうな地元温泉を調べて、足を伸ばすくらいはするつもりだけど、
でも基本的に半分くらいは、家でのんびり過ごそうと思っていたのだ。インドア万歳。
きたくんが予定を聞いてきたのは丁度その休暇の範囲内だったので、
分かり易い断る理由が無かった俺は、二つ返事で了承してしまっていた。
…大体、いきなり電話をかけてきた男もタチが悪いと思う。
普段から携帯電話が嫌いだとあれだけ公言しているのに。メールも随分渋るのに。
そんな男の名前がディスプレイに表示された着信なんて、無視出来るはずがない。
少なくとも、不覚にも、この男に惚れてしまっている俺には、無理な選択だった。

「すみません白津さん、休暇中なのに。うちのが呼び出したみたいで。」
「いえべつに、大丈夫です。」
「呼び出しって失礼なー。俺だってリーダーとゆっくり話したいときくらいあるんですー。」
「はいはい。」

きたくんと俺を乗せるバンを運転するのは、彼のマネージャーさんだ。
俺より付き合いも長く、信頼関係の厚い彼女と彼の間の空気は独特で、
正直俺は車内に居座っているだけでもそわそわする。彼女はなにをどこまで知っているんだろう。
彼と彼女は、たわいもない世間話をしているけれど、俺は何を話せばいいのかさっぱりわからなかった。

「どっかの店?それとも直帰する?」
「ああうん、直帰して。」
「えっ……?」

話によると夜の都会を走る車の行く先は、彼の部屋だという。正直(内心)死ぬほど驚いた。
きたくんはにっこりと微笑みながら言う。

「泊まってくでしょ。」

だって今まで、それこそ出会ってからこちら、俺はこの男の部屋に行ったことなんて無い。
人に言えない、むしろ伝えようとしても名前が分からないような、そんな微妙な関係になっても、
ついぞ俺が男の部屋に入ることはなかった。
他のメンバーはどうか知らないが、少なくとも自分にそんな経験はなかったのだ。
それを不便とも思わなかったし、もう随分前の話だけど、俺は部屋の鍵すら男に渡してしまっている。
…部屋に行きたいと、正直、言い出せなかった感はある。
言うなれば、タイミングを逃してしまったような。
でもこんなかたちで実現するつもりなんて微塵もなかったのに。
もうちょっと色々(主に心の)準備をするはずだったのに。
都会を静かに進むバンは、無情にも確実に帰路を辿っている。
やっぱり絶対はめられた、と納得いかない気持ちで、俺は仕方なく窓越しに夜景を眺めていた。

***

そうして着いた、彼の部屋で。
見慣れたバラエティをBGMに、軽い食事をした。
少しばかりお酒も飲んだ。
先に使ってと言われて、シャワーを浴びた。
ドライヤーを使う習慣のない俺にそれを渡すと、次はきたくんが浴室に姿を消した。
時折聞こえる水音があまりにも居たたまれなくて、
打ち消すように俺はドライヤーを強風のまましばらく使った。
頭皮がやけに暖かくなる。それでも浴室の音は止まない。彼はこんなに長風呂だったろうか。
いや、正直言って出てきてもらっても困るのだ、だってどうすればいい。
ベッドの縁近くに置いてある、ビーズ性のクッションがひどく心地いい。
そのまま眠れそうな柔らかさに、思わず全体重を預けると、ふうっと香るのは、

(無理……ッ!!!!)

きたくんの部屋はシンプルで、でも物が多い部屋だった。散らかっていると言う人もいるかもしれない。
でも俺にとってそれは気にならない程度のもので、
むしろ自分も見たことのある彼の私物が点在している部屋にいると、
ああここは紛れもなく彼のテリトリーで、俺は今そこにいるんだと妙な感動を覚えた。
そう、此処は完全に、男のテリトリーなのだ。

(………ッ!)

正直、玄関に足を踏み入れた時点で、麻薬でも焚いているのかと思った。ほんとにそう思った。
ただでさえくらくらしだした脳内を抑えるのに俺は必死だったのに、
彼の用意してくれた食事も珈琲も美味しくて、機嫌の良さそうな彼の横顔とか、
ちょっとしたときに触れる指先とか、風呂上がりにと貸してくれた部屋着とか、
もうなんだかこの部屋の全てが心拍数をおかしくする。
あまつさえきたくんは、先に寝ててもいいよ、なんて言っていたのだけれど、
案の定というか部屋にはいつも彼が使っているだろうベットがあるだけだ。馬鹿を言うな。

だって、水に浮かんだ折り紙の舟みたいな、そんな風な男なのだ。

指でつつけばふわりと揺れる。
ゆらゆら、ゆらゆらするのがもう一度見たくて、そうっとまた指でつつくと、
今度はふいと向きを変えてしまう。
ときおり吹いた波に揺られてゆれる舟。
うっかり指に力を入れ過ぎてしまうと、たちまち真っ逆さまにひっくり返って、沈んでしまうだろう。

(どう、すれば、)

なにが正解なのかわからなかった。正解ってなんなんだろう。
どうすれば舟はそこにいてくれるんだろう。風はどっちに吹いている?
そもそも俺は、舟が欲しいんだろうか。眺めていたいだけなんだろうか。
わからない、わからないけど、心臓が馬鹿みたいに悲鳴をあげているのは確かだった。

最早これが恋なのかどうかすら、俺にはわからない。




「……しろ君?起きてる?」

どれくらいの時間が経ったのだろう。
気付けば浴室の水音は止み、ドライヤーがもう一仕事終えていて、
ふわりと湯気の香りのするきたくんが俺を覗き込んでいた。色っぽい彼。

「ッ!!、ね、……ねてた?」
「ふふ、さあ?」

跳ね起きた俺を彼はくすくすと笑う。
正直寝ていたつもりはない。こんな心拍数で寝れるわけもなかった。胸の辺りが痛い。

「あーあー、冷えちゃったね。もう俺も寝るから、布団入ってなよ。」

そうして彼はなんとはなしに、俺に最終宣告を告げる。だめだ、流石にこれは避けられない。
最後に一服しに行った彼に、ああともうんともつかない返事をしながら、
俺は渋々、そうろりと羽根布団に身をつつんだ。そして後悔する。

(…ッ!!も、ほんとに、むり、、)

なんだろう。なんの匂いなんだろう。
シャンプー。せっけん。香水。煙草。柔軟剤。汗。考えれば考えるほどドツボに嵌る。
考えないなんて無理だ。
どれにしたって彼の一部で、だって此処は普段彼が身体を休めている場所で、
もしかしたら彼と、他の誰かが、抱き合った場所かもしれなくて、
もしかしたら、もしかすると、今ここにいる俺は、

「……うぅ、」

布団はまだひんやりとしているくせに、身体の芯がふつふつと熱くなる。死にたくなった。
身体を縮ませて、目をぎゅっとつむる。バクバクとやかましい心臓なんてもう止まればいい。
願わくば、このまま睡魔がやってきて意識を攫っていけばいいのに。

「……しろ君?」

その甘い声に呼ばれて、顔を上げないなんて、俺にはできないんだ。

「……そんなに怖がらないでよ。」

一段と濃い煙草の香りを纏ったまま、男が布団に潜り込む。男の身体は夜風で冷えていた。
当たり前の様に彼は、俺を見下ろすように身体を重ねると、その指で頬をなぞった。少しつめたい。
ぎゅうぎゅうと目をつむっていた所為で、サイドライトに照らされた彼の表情がよく見えない。
彼の瞳には、どんな顔をした自分が写っているんだろう。

「俺が怖い?」

男はなおも続ける。
答えようとした声は、情けないほど弱々しい声だった。

「…わ、かんない…。なに、かんがえ、て、」
「そう?わかりやすいと思うんだけどな、俺正直者だし。」
「う、そ。」
「嘘じゃないよ。嘘はつかない。」

ほんとのことも言わないくせに。
意図をもって睨めつけると、わかっていたのか、男は器用に肩をすくめた。

「そうだね。…俺はわるい大人だから。」

前髪をどかされ、額にやわらかく唇があたる。
たったそれだけのことで、身体が震えそうになるなんて、ほんとに馬鹿げている。

「ねぇ、おしえて。」

ほんの少しばかり顔を離すと、男が言った。
最早俺に、まともな思考回路なんて残っていない。確実に、麻薬の吸い過ぎだ。

「俺はたぶん、しろ君が思ってるよりずうっと、わるくて、ずるいんだ。
 今もね、こんな顔させてるのに、たまんないって思う。」

キスもしていないのに、息が苦しい。
男の唇から溢れる言葉で、口を塞がれているのかもしれない。
柔らかい目蓋でふちどられた瞳から目が離せない。
くるしくて、くるしくて、いっそ涙が出そうなくらいだ。

「ねぇ。…ほんとに、俺のこと好き?」





まるでそこは、蜘蛛の巣のようだった。
切れない糸に絡まって、もがけばもがくほど絡まって、動く体力すら全て奪われたそのときに、
ようやっと主が顔を出して止めを刺す。間違いなく俺は、そこに引っかかった獲物だった。
(ああでも、きっときたくんは、)
きっとこの男は蜘蛛ではなく、蝶なんだろうとぼんやり思う。
存在自体が麻薬のようなこの男に惹かれてしまったら最後、早々戻ってこれやしない。
その巣の真ん中で、おとなしく最期の止めを待つばかりなのだ。

「……ッ、ふっ…、」

喉が引きつって声が出ない。
震えそうになりながら、代わりに首を振ってみたのだけど、男がゆるしてくれるはずもなかった。
にっこりと微笑みながら、額をこつりと合わせると、悪魔みたいに囁いた。

「…言って、」


必死に絞り出した、涙声のようなそれは、無事に男のもとへ届いたようだった。






その夜の記憶は、正直言ってほとんどない。
何回やったのかも、いつ身体を洗ったのかも覚えていない。
それでも、身体に残った気だるさが、ひどくしあわせに思えた。
たとえ休みを大幅に潰してしまったとしても、ロクに声が出なかったとしても、

『…ありがと。すきだよ、かおる。』

たとえ、それが嘘だとしても。罠だとしても、なんでもよかった。
だって俺は多分、やっと、この男の真ん中の、大切なところに触れられたのだ。
触るだけで手が溶けてしまいそうだけど、それでも確かにそこに手が届いたのだから。

(ねがわくば、このてのなかでしんでしまいたい)


ベッドから起き上がり、昼過ぎにきたくんの珈琲を飲むころには、
心臓はそれは大人しく、おとなしく音をたてていた。


fin.

***

私の気持ち的には以前隊長が書いてくださったきたしろ話の延長線上なんですけど
妄想詰めすぎてしろ君別人仕様な気がして申し訳ない
個人的にきた←しろのしろ君の感情って最初は普通に恋だったけど時間を経るにつれて
強迫観念に近いなにかに変わっていく感じがするんです
もうなにがなんだか自分でもわからないけどこの気持ちを捨てきることも出来なくて、
苦しくてくるしくて仕方がなくなっちゃうしろ君が書きたかった(書けてない
きたの方はまさかそこまでしろ君が思い詰めてる、なんてのは知りません自分主義だから
でもやるからには絶対に手に入れたいしこの話のきたくんは最終的にしろ君一途なので、
最後のとこも本心なのです実はね
ようやっときたの見栄っ張りというか取り繕ったというか、そういう面の内側にある本心みたい
なものを覗けたしろ君は、無事心臓発作を起こすことも心肺停止することもなく救われました って話

あとがきの言い訳が長いってことは本文に書けてない証拠だと思うの…(しろめ
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